1/43

 青森の十和田市から秋田市に活動の拠点を移して5年が過ぎました。十和田市現代美術館の現場もかなり充実していて楽しませていただいたのですが、秋田の現場はさらに刺激的で僕にとってこれまでにないほどの最高の状況です。それはやはり美術を志す学生の存在が大きいのですが、大変ありがたい=有り難い、状況だと思っています。

 僕はそれぞれの時代で一般的に流行っているモノゴトについて、あまり興味を持ったことがありません。もちろん、新しいモノゴト、これまでなかった新商品とか思考法のようなものには大きな関心があり、どちらかというと飛びつきます。しかしそれよりも、今、誰もが見向きもしないような存在、むしろ低く見られていたり排除されたりしているモノゴトを無視できず、それにしつこく向き合う習性があります。それは意識的ではなく、無意識の行動だから仕方ないのです。

 同じような感覚として、過去に作られた立派なものごとや高い評価を得て大切だとされる文化芸術(作品)に対して、リスペクトはあるものの、それを追っかける態度を取ることに素直になれません。もちろんその幾つかには陶酔した経験もありますし、現代美術のように新しい意識や技術、手法、ありえない存在に対しては関心は高いのですが、むしろ、これまで経験したことのないような新しいモノゴトをつくりたい側にいるのだとおもいます。その意味で、どちらかというと、表現未満、美術未満、芸術未満、いわゆる有象無象のまだ何でもない若い感性や新しい形が生まれそうな状態に心が大きく動き、無視できずにいて、結局なんらかの活動を発生させてしまうのです。

 最近になってようやく自分の行ってきた仕事をアートプロジェクトという手法だと認識するようになりました。これが自分にとってふさわしい呼び名なのかどうかは疑いもありますが、この30年近い美術史の流れを客観視してみると、どうやらそういうことになるのかもしれない・・・と思うようになりました。とりあえず・・・ですが。

 

 そのアートプロジェクトにも幾つかの傾向があることを過去の活動から編集してみました。1983年以降積極的に取り組んできたことを大きく分類すると、場づくり(Art Place)、しくみづくり(Art System)、ツールづくり(Art Works)と整理できるのかなと考え編集してみたものがこのサイトです。収入を意識せず始めた活動ですが、長い間行っていると、それなりにお金を動かしながら継続的な展開を促すような活動へと連鎖してゆくものです。その為に個人、藤浩志から株式会社藤スタジオ(Fuji Studio co.)という法人をつくり、少人数ですが身近な人と活動を展開することになってしまいました。特にコロナ禍以前より、法人という存在のあり方そのものや、法人と個人の関係のあり方にも興味を持っています。

 秋田の現場での面白さは、将来、おそらく10年後〜30年後に文化芸術として花開く可能性を孕む有象無象の若者が多く集まる美術大学という法人、秋田公立美術大学やNPO法人アーツセンターあきたという法人にも関わりながら、2021年3月に開館予定の旧秋田県立美術館跡地のクリエイティブハブのような場所を運営してゆくことが可能になってきたという状況にもあります。

 今後も様々な現場で、新鮮でインパクトのある活動の実践を試みてゆきたいと思います。文化芸術という過去の重石に潰されることなく、30年後の新しい文化芸術に繋がる可能性を孕んだあたらしい活動を模索している現場との出会いを楽しみにしております。

 Fuji Studio Co. 代表 藤浩志

 

​https://www.fujistudio.co は、カテゴリーにとらわれない美術作家 藤浩志(ふじひろし fuji, Hiroshi)のこれまでの活動を紹介するサイトとしては株式会社 藤スタジオ(Fuji Studio Co.)が管理しています。
Fuji Studio Co.   2129-7 Nijo-Fukae  Itoshima City Fukuoka ,Japan   株式会社 藤スタジオ 福岡県糸島市二丈深江2129-7 email fujistudio@outlook.jp
  • Facebook fuji hiroshi